2025年7月14日の「脱AppleEcosystem、失敗」という記事では、いったん挫折しかけて、引き続き検討していた脱Appleに何とか成功した。
長くなるが、以下、移行過程とその後の使い勝手をメモしておく。

SUICA定期に対応したスマートウォッチでスマートに改札を通過するという一点にこだわる限り、現状ではAppleWatchから逃れられず、そうなればスマートフォンもiPhoneに限られてくる。なぜSUICA定期がAppleWatch限定なのか、理由はわからない。
しかし、そこを譲歩して、改札はスマートフォンを取り出して通過してもよいと決断できれば道は開ける。その場合、SUICAだけでなく、SUICA定期にも対応(つまり、モバイルSuicaアプリをインストールして使えるかどうか)を確認してスマホの機種を選定する必要がある。結構ちゃんとSuicaに対応しているものは少ない。
どうせスマートに改札を通れないならスマートウォッチは止めて、いっそ愛しい機械時計に戻るのもありかなと思ったが、通知やリマインダ、タイマーなど、慣れてしまうと手放すのが惜しくなる機能は少なくない。
スマートウォッチ選び
いろいろ比較してみたが、機能を限定して、スマートというより、腕につけておく記録装置という程度ならそれこそ1万円もしないものからいろいろあるが、Suicaだの大画面だの多くを求めると、非Appleのスマートウォッチでも結局Apple Watch並みの値段になる。
そして、かなり精度の高い血圧計と心電図計測機能がついたスマートウォッチを見つけた。トランプ政権にも虐められた、中国企業Huaweiの、Huawei Watch D2という製品。
大きさはApple Watchよりほんの少し厚い程度で大きさはほぼ変わらない。しかし、バッテリーの持ちはすこぶる良い。朝夕の血圧測定と、思いついたときに心電図や血中酸素量を測ったり、その他は通知を受ける程度だと、1週間近く持ちそう。Qi規格に対応しているようだが、時計背面のセンサー部分がかなり丸みを帯びていて、Apple Watchの充電器ではフィットせずうまく充電できない。
血圧計は、ベルトの内側に薄いゴムの袋が取り付けられていて、計測を開始するとここに空気が満たされて圧迫する仕組み。なので、好きなベルトに変更することはできない。血圧計としての精度や使い勝手は別項目で。
NFCが搭載されているが、認可の関係か、アプリの関係か、日本では実質使えない。残念。
購入時のキャンペーンで、同じメーカーの最新のデジタル体重計Scale Pro 3(1万円程度)がおまけが付いて、楽天市場で約5.5万円で、ポイントで5千円程度還元。
スマートフォン選び
最近のiPhoneの高額化はものすごい。確かに品質もいいが、たかが携帯電話を買い替えるのに十数万円の出費というのはフツーではない。同じ端末を何年も大事に使い続ける人もいるが、考えてみると、新し物好きも災いして、だいたいこれまで二世代に1回くらいのペースで買い替えてきた。でも端末が10万円を超えたころから買い替え頻度は下がり、買い替えの動機も低くなった。そもそも、たいした機能の向上も新機軸もないので、動機低下は価格の問題だけではない。
で、今回の選定のポイントとしては、
- Suica定期、グリーン券購入
- eSIM
- 外部メモリスロット
- 軽量、大画面(現行のiPhone 15 Pro程度以上)
- バッテリー容量(終日の使用に耐える程度)
- 価格は3〜4万円程度
を挙げた。
今どき、ほとんどのアプリはiOS/Androidいずれでも提供されているので日常使いのものは心配なかった。
この条件で浮かんできた候補は、Oppo Reno 11/13と、Motorolaのmoto g64/66。いずれも3、4万円の圏内で購入可能。結局、バッテリーに関する評判とデザインでOppo Reno 13Aを、メルカリで出ていた白ロムで3.5万円で購入。
商品到着&セットアップ
スマホのケースやスクリーンプロテクタも発注しておいたので、まずはそれらを取り付けて設定開始。
移行ツールを起動してデータの移行を開始したのはいいが、Oppo側のストレージ容量が小さいので、移行ツールがフルに仕事できなかった模様。写真は含めなければ良かった。1TBのSDカードが届いてから本格的なデータ移行をすればよかった。
iPhoneで使っていたアプリのほとんどがAndroid版もあるため、アプリのインストールまでは移行ツールで面倒見てくれた模様。しかし、実際にはすべてのアプリで初回起動時にログイン・パスワードなどの設定が必要で、結構難儀した。
スマホアプリの使用感
辞書ソフト
長年愛用しているEBPocketのAndroid版がある。しかし、OSの制約から、辞書データを用意するのが一筋縄ではいかない。端末にMacから直接データを転送できるツールをいろいろ探し、OpenMTPというシェアウェアにたどり着いた。
もう一つよく知られたツールもあったが、こちらは1年間のライセンス料3千円を支払わないと書き込みができない(無料お試し期間もあるようだが、解約だの面倒くさそう)。OpenMTPの方はフルスペックでの配布だが、気に入ったらコーヒー奢ってくれ、というシステム。辞書のデータが無事転送され、散々苦労した辞書の設定が上手くいったことで気を良くして、感謝の気持ちを込めてコーヒー代金を進呈。
Nanaco
iPhone間や、AndroidからiPhoneへの以降はできるのに、なぜかiPhoneからAndroidへの以降は対応していないのに驚き。オペレータへの電話で対応してもらったが、通話料以外に料金取られた。
随分時間が経ってから書面でのやり取りを行い、ようやくチャージされていた金額を取り戻すことができた。
テザリング
Wifi経由は問題なく可能だが、USB経由は動作しない。Mac側でMSのプロトコルに対応する必要があるらしいが、最新のOSXではそのインストールがうまくいかない。
参考:https://joshuawise.com/horndis#available_versions
写真の管理
すべてをSDカードに放り込もうかと思ったが、Mac側でこれまで使っている写真アプリを起動した上でAndroidをUSB接続すると、Macのアプリで一括して写真を管理できることが判明したので、現状のまま原本は自宅Macの写真アプリで管理して、そこにAndroidで追加したものをバックアップしていくことにした。
モバイルSuica
ほとんど使い勝手は同じ。ただ、いちいち携帯電話を取りだして改札のセンサーにかざす必要がある。ちょっと面倒。
また、複数のSuicaをインストールしている場合、おサイフケータイでメインのカードを指定しておかないと、車内のセンサーにタッチする際に上手くいかない。これは明示的に指定しないと、インストール直後は未設定なので、センサーが感知してくれない。
メールアプリ
MacでもずっとSparkというアプリを愛用している。Androidに乗り換えると、何かとGoogle色に染められていくが、Gmailアプリは使わず、慣れ親しんだSparkをインストール。このソフト、メールサーバの情報を一つのIDで一括して管理できるため、それでログインすればすべての設定が引き継ぎ完了
ウォッチの使い勝手
バッテリー
各種通知を受け取り、アラームやストップウォッチを使ったり、朝晩の血圧測定をする程度だが、一週間に一度の充電で充分なほど、バッテリーが持つ。AppleWatchの頃は、毎日充電しておかないと、帰宅までバッテリーが持たないことが何度かあり、それでウォッチに入れたSUICA定期も使えず、泣く泣く通常運賃を支払ったことがあった。ま、今度のウォッチはSUICA定期は非対応だからそんな心配はいらないが。
血圧計
これまでは、上腕にカフを巻いて、Bluetoothで接続した血圧計で計測、その結果をiPhoneのアプリで受け取り、ヘルスアプリに統合していた。デバイスを取り出してカフを巻き、アプリを起動して計測同期という作業は結構面倒だったし、バッテリーがなくなってきていると計測できなかったりなんてこともあった。
ウォッチでは、ボタン一つですぐに血圧計が起動、十数秒間腕を胸に当てて静かにしていれば計測終了、結果はそのままウォッチからスマートフォンに送信される。精度は、手首で計測する医療機器認証された血圧計で測ったのとほぼ同じ結果。このウォッチに搭載された血圧計も一応は医療機器認証を受けている。
ちなみに、献血直後の手首による計測で、上が144となっていたので、すぐにウォッチで計り直したらやはり144。血圧って血圧で上がるもんなのか?
その他
AirTag
これは未登録のBluetoothデバイスとして認識はしてくれるが、タグとして管理操作することはできない。仕方ないので、Android対応のタグに買い換え、自転車の鍵と財布につけた。
Macのスリープ解除
これまで、AppleWatchを装着しているときには、それを認証キーとして自動的にスリープを解除してくれていた。当然、非Appleスマートウォッチにこのような機能はない。まあ、ログイン画面でパスワード入れればいいだけのことだが、地味に不便。
iPhoneとのデータ送受信
iPhone側にアプリをインストールしてもらえば、ほとんどAirDropと同じ感覚でファイルの送受信が可能になる。
総括
腕のウォッチに入った定期で改札通過、という利便を諦め、何とかiPhone/AppleWatchというしがらみから逃れることができた。耐久性についてはまだ判断できないが、機能的にも遜色なく、価格面ではかなり優位に移行することができた。これである程度の耐久性があれば、買い換えのたびにとんでもない浪費をせずに、Appleフリーなデジタルライフが構成できる。
かつてほどOSの違いで使い勝手やアプリの有無などが異なることはないし、インタフェース的にもそれほどイライラする違いもない。強いて言えば、HuaweiもOppoも、Androidをベースとしながらも一応独自のOSを搭載しているので、その点でシステムのアップデートや、アプリの安全性などで多少の注意が必要かもしれない。