Facebook Post: 2019-08-05T15:53:00

人材配置の根幹がこの惨状。でも、やることはどんどん増やすという無謀。

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パズルの穴、合わないピースで埋めてる 教員不足に悲鳴
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上野創、編集委員・氏岡真弓 2019年8月5日06時00分

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非正規教員が必要になったり、未配置が増えたりする理由

 全国の公立小中学校で1200件以上、教員の「未配置」が起きていることが明らかになった。理由として教育委員会が挙げるのは、特別支援学級の増加や、学校現場の若返りとともに産休・育休を取る教員が増えたことなどだ。一方、空いたポジションに就いてもらうための非正規教員のなり手が減っていることも、追い打ちをかけている。専門家は、「非正規教員に頼ってきた政策の問題が出ている」と指摘する。(上野創、編集委員・氏岡真弓)

公立小中、先生が足りない 全国で1241件「未配置」
 「教育委員会も学校も、とにかく見つけようとしているが、探しても人がいない」。小中学校で教員の未配置が100件を超え、全国で最も多かった熊本県の担当者は話す。

 要因として挙げるのは、特別支援学級が県内(熊本市を除く)で昨年度の911学級から976学級へと65増えたことだ。「特別支援教育を受けさせたいと要望する保護者が増えている。それを受けて学級を作ると、担任として教員を配置しなければならず、人数が足りなくなる」という。結果的に、少人数指導などにあてる予定だった教員を回して対応している。

 特別支援学級は通常学級と異なり、希望する児童生徒が1人でもいると開設を決める市町村教委が増えている。障害者差別解消法が成立し、障害がある子どもらへの合理的な配慮が求められるようになったためだ。だが、子どもが特別支援学級に入るのかが決まらなかったり、転出入したりするため、学級数が確定するのは学年が始まる直前になる場合がある。

 非正規教員が必要となったり、未配置が生じたりする理由として、特別支援学級の増加を挙げる教委は他にも多い。92件の未配置を抱える愛知県は今年度、小中学校の特別支援学級が5年前より3割以上増えた。82件の神奈川県、44件の福岡県を含め、調査対象の72教委のうち55教委が朝日新聞の調査に「よくあてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えた。

産休・育休、取得期間も長期化
 神奈川県や愛知県は、産休・育休を取る教員が増えていることも調査に「よくあてはまる」と回答した。この理由が「よくあてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えたのは計54教委だった。現在は、第2次ベビーブームに対応するために大量採用されたベテラン教員が定年を迎えており、各地で新たに採用する教員が増加している。この分、若手が増え、出産期を迎える教員が多い。文部科学省によると、2014年度に育休をとった教員は3万7052人いたが、17年度は4万2762人に増えた。

 「増えたのは人数だけではない」との指摘もある。「現場が忙しく、復帰しても休みにくいため、最大限の3年間取得するケースが増えている」と神奈川県教職員組合の島崎直人書記長は分析する。

「学校任せ」にする市教委も
 配置されるはずの教員が来ない学校では、他の教員がフォローを迫られたり、子どもにしわ寄せがいったりしている。

 東北地方の小学校では、6月から産休をとった特別支援学級の担任の代わりが来ず、担任を持っていない教務主任がその学級を受け持った。担任の仕事を終えてから学校の計画づくりや時間割調整など教務に取りかかるため、1学期は夜9時過ぎまで職員室にいる日々が続いた。夏休み明け、産休の代わりの講師が来るめどはまだ立っていない。

 東日本の小学校では昨年、3人の学級担任が相次いで産休・育休に入った。1人目、3人目は代わりの講師が配置されず、教務主任と少人数指導の教員がそれぞれ、担任になった。今年も4月から1人が早めに産休に入った。講師が手配され、担任発表には間に合ったが、夏以降にさらに2人が休みに入る予定だ。「前もって分かっているので準備がしやすいはずなのに、講師が配置されない」とこの学校の教員は話す。

 西日本の30代の講師は昨秋、ある中学校から「国語の先生がやめて人がいない。来てもらえないか」と頼まれた。中学・高校の体育などの免許しか持っていないが、「教委が臨時免許を出す。現代文の文法だけ教えてくれればいい」と言われた。授業では副教材の問題を生徒にひたすら解かせ、教師用の指導書を片手に内容を説明したが、生徒の質問に答えられない場面もあった。「自分もしんどかったが、専門でない教師に当たった子どもたちがかわいそう。パズルの穴を、合わないピースでともかく埋めている状態だ」と明かす。

 北関東のある市の小学校は3月半ば、市教委から「だれかに来てもらおうとしても無理。学校で探して下さい」と言われた。新学期から産休を取る教員の代わりに、常勤講師が来るはずだったが、急に来られなくなった。

 教職員全員で、教員免許を持つ知人や退職者にあたり、早期退職した元教員を迎えた。「教委で人が見つけられないからといって学校任せとは。八方ふさがりのなか、先生を探していたとは保護者には言えない」と、この小学校の教員はなげく。

臨時免許、出しやすくして対策
 未配置が増える背景には、非正規教員のなり手が減っているという事情もある。朝日新聞の調査で、各教委は非正規教員の確保が難しい理由として①講師名簿の登録希望者が減った(76%)②採用候補者が他県や私学などに就職した(51%)③採用候補者が教員以外の職に就職した(40%)――などと答えた。

 文科省の担当者は、ここでも教員の大量採用が影響しているとみる。「採用試験に合格して正規教員になりやすくなり、試験に受からずに講師となる層が薄くなっている」という。

 文科省が対策として考えているのは、定年退職した教員が講師になるのを容易にすることや、社会人ら多様な人に教員になってもらうことだ。1月には、教員免許の更新講習を受けなかった人でも講師になれるよう、都道府県が臨時免許状を出しやすくする通知を出した。今後、教員免許を持つ社会人が教師になりやすいプログラムなどを中央教育審議会で検討してもらうという。

佐久間亜紀・慶応大教授(教育学)の話
 全国の未配置件数が明らかになったのは画期的だが、都道府県は市町村の実態をとらえきれておらず、氷山の一角だと思う。

 自治体は行財政改革のため、正規教員を減らし、非正規に頼る政策をとってきた。そんななか、ベテラン層の大量退職で正規の採用数が増え、非正規になりうる層が減少した。その結果、非正規の人材が枯渇している。これは巨大地震の前触れのように、正規教員の不足の可能性の高まりを示している。国は非正規も含めた教員の数や雇用の実態調査を全国で行うと同時に、教職の魅力を高める政策を打ち出すべきだ。
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