淡路亭

買い物で秋葉原に出掛け、御茶ノ水まで歩いて行く途中で、淡路亭がキャロムのテーブルを設置したという噂を思い出し、寄ってみた。
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淡路亭と言っても、私の落語家としての屋号でも親戚が経営する飲み屋の屋号でもない。玉突き関係者なら誰でも知っている、台の販売設置やキューの製作修理など、玉突きに関するすべてを扱っている会社。その二階には6台のテーブルが設置されている。中央線の秋葉原お茶の水間で、神田川の向こう側に見えるビリヤード場を見たことがある人は多いはず。
さて、キャロムというのは、テーブルに穴がない、手玉を他の玉に連続して当て続けるゲーム。キャロムビリヤードのもっとも高度な種目はスリークッションで、他の二つの玉に当てる前に3回以上クッションに入れなければならない。現在よく見るタイプのビリヤードはボケットビリヤードで、テーブルの四隅と長辺の二カ所にボケット(穴)がある。
ヨーロッパで標準的に使われているサイズのキャロム台は、いわゆる大台と呼ばれる規格で、日本やアジアなどではそれよりひと回り小さい中台というサイズも使われる。
1986年に映画『ハスラー2』(原題は”Color of Money”)が公開された頃、ポケットビリヤードが爆発的なブームとなり、多くの店でキャロム台がポケットテーブルに置き換えられた。それ以来、キャロムビリヤードは細々とプレイされてきたが、2012年には日本で最大規模のキャロム設置店だった高田馬場ビックボックスビリヤードが閉店し、衰退に拍車がかかった。
スリークッション用の大台を置いている店はまだ残っているものの、中台を置いている店は都内でも2,3軒という寂しい状況。
かつて昭和天皇は撞球に相当のめり込んでいたと伝えられているし、現在でも霞ヶ関には皇室御用達の撞球場がある(一度は言ってみたいが、紹介がなければ駄目らしいし、私のような品のない人間はきっと断られる)。遡れば、池之端にある、あの三菱財閥を築いた岩崎家の三男久彌の邸宅にも、わざわざ地下道で結んだ撞球場があるほど歴史も古く由緒正しいのに。私が大財閥になったら、毎年ワールドカップを開催できる規模の常設撞球場を設置するのになあ。
話題を戻すと、淡路亭も時代の流れには逆らえず、ポケットばかりの店になって久しい。学生時代にキューの修理をお願いしに来たのが最後で、その頃には確か既にポケットのみの店になっていた。それから淡路亭には30年近く来ていない。
その淡路亭にキャロム台が復活したというのは、愛好家にとっては何とも嬉しいニュース。お店で聞いたところ、若い頃に四つ球を突いたことのある年配の方々から、また突いてみたいという要望が出たのに応えて設置したらしい。
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設置されていたのはソーレンソガート製の中台で、ラシャはスリークッションのものを使用、石板も厚いせいか、球の転がりはすこぶる良好。あれくらいいいコンディションの台なら、たまにひとりで練習に来るのも悪くないかもしれない。
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