キャロムビリヤードでのタッチ状態のボールの扱いについて、誤解されていることも多いようなので、調べてみました。

まず、公益社団法人 日本ビリヤード協会のHPでは、法人格に必要な規定は公開されていますが、肝心の競技に関するルールは掲載されていません(印刷物として出ているのかは未確認)。
もっとも制約の少ないlibre 種目(いわゆる、フリーゲーム)は、残念ながらまだ日本では公式競技にはなっていませんが、日本ではタッチボールについては初球立て直しかそのまま突くかを選択できるというルールが広く採用されているようです。
ビリヤード発祥の地ヨーロッパには、ワールドカップ等を主催するUMB (Union Mondiale de Billard)と、ヨーロッパ地域のキャロムビリヤードを統括しているCEB (Confédération Européenne de Billard)という組織があります。
UMBの公式ページには、競技会を開催するためのルールが種目ごとにまとめられていますが、競技自体に関する細かいルールは現在では見当たりませんでした(古い情報については後述)。
一方、CEBのページには、種目ごとに競技に関する細かいルールが公表されています。全競技に共通するルールについてまとめてあるページの3ページに、タッチ状態のボールの扱いについて次のように書かれています(下線は筆者):
Article 2008 – BALLS IN CONTACT
1. As soon as the cue-ball comes into contact with one of the two or with the two other balls the rights of the athlete concerning all kinds of game, except the partie libre for which the renewed placing on the starting point is obligatory , are the following:
a either to demand that the referee places them once again on the spots;
b or to play by the ball which is not in contact or to play the cushion beforehand;
c or to play the detached massé but on condition of not setting into motion the ball being in contact. It is not a foul if the ball in contact solely moves on account of the fact that it loses the hold which it possibly got by means of the cue-ball.
下線部には、下のa, b, cの選択肢は、libre 種目には当てはまらず、タッチボールは強制的に初球に立て直す、ということが書かれています。つまり、カードル、ワンクッション、スリークッションなど他の種目では、a)初球立て直し、b)タッチしていないボールから当てるか空クッションなどで狙う、c) マッセで突くという選択が可能ですが、フリーゲームの場合には強制的に初球に立て直すということです。
ちなみに、項目cのマッセについてですが、これもよく誤解されている寄っかかった状態のボールが動いた場合について、反則ではないと明記しています。
かつてはUMBにあった古い情報(1989年1月版のルール)ですが、現在では公式ページのどこからもリンクが張られていません。意図してかどうかはわかりませんがファイル自体はサーバに残っています。全体的な内容は現在CEBで公表されているものとほとんど同じで、問題のタッチボールの扱いについてもCEBの記述と変わりありません。
現在UMBはスリークッションを中心とした世界選手権を主催する団体のようですが、他にもワンクッション、5ピン、アーティスティック種目もあつかっているようです。フリーゲームやカードルの大会は開いていないようなので、それでルールも掲載されていないのでしょう。
CEBでは、フリーゲームはジュニアとレディースのみですが種目として残っています。各競技の競技上の細かいルールについても掲載されています。恐らく、UMBで掲載されていない種目や細かい競技場のルールは、CEBに準じるという扱いになっていると思われます。