YKIを受けてきました。

YKIとは、Yleiset kielitutkinnot (言語能力国家検定)の略で、フィンランド語を始め、英語、スウェーデン語、ドイツ語、フランス語、ロシア語などの能力試験です。

試験に向けてどのように準備して、試験自体はどんなものだったか、記憶している範囲で経験を書いておきます。

写真は、タンペレ市で受験した会場。うららかでいい天気でした。

写真は、タンペレ市で受験した会場。うららかでいい天気でした。

下に記したのは、あくまで私個人の記憶に基づくものなので、記憶違いや勘違いなどもあるし、会場ごとに運用などは異なるかもしれないことを踏まえて読んでください。また、そもそも実力をはるかに超えたレベルの級を受験することになったため、どえらく緊張してて記憶が随分飛んでいる部分がありますが、ご容赦ください。


申し込みから試験準備まで

YKIへの申し込みや、結果を電子メールで受け取るためには、いくつか必要な認証手続きがある。銀行口座を持つか、その他の方法(警察発行の身分証明カードHenkilökortti)が必要。このカードの取得に時間がかかったこともあって、本来私に適切なレベルのperustaso(初級レベル:CEFR A1-A2相当)の申し込みは既に締切。というか、もともとこのレベルの枠はかなり少ない。

銀行口座開設より、恐らく警察での身分証明カードを発行してもらう方が早い。これをPCのカードリーダを使って読み込んで認証することで、電子的に情報を受け取るためのsuomi.fiの利用が可能になる

でもこれだけでは申し込みはできないので、それに加えてHighTrustIDという仕組みも利用する必要がある。これもHenkilökorttiで認証ができ、いったん認証を済ませておけば、あとは申込時にその認証を選択すればOK。ここまで調べて試行錯誤していて時間がかかり、4月に実施された初級レベルは申し込みすらできなかったという次第。

このYKIテストは、フィンランドで求職する際の語学力証明に使われたり、大学への入学条件になっていたりするのですが、特に市民権の申請には中級レベルの少なくとも2つのスキルに合格する必要があるため、中級に受験申し込みが殺到しがち。それでそもそも初級の試験日や会場はすごく少なくて、中級は受付開始とともにあっという間に埋まってしまうという状況。

どうにかkeskitaso(中級レベル:CEFR B1-B2相当)のキャンセル待ちに滑り込みで申し込み。待ち人数は5番目くらいで、試験直前までまったく動きがなかったのでダメだろうと諦めていたところ、1週間前になって突然バタバタと繰り上がり、急遽申し込みできることに。通知から2日後には支払い済ませろという、ほとんど詐欺メールみたいなタイミング。

支払いを済ませるとすぐ、受験に関する情報が書かれたメールが届く。てっきり朝からだと思っていたら、グループEと書かれていて、開始は13:10。まあ、余裕を持って会場に行けたし、終了時刻の18時はまだまだ太陽出ているのでよかったけど。

で、それから慌てて必死で試験準備。もっと早めに始めておけばよかったんですけど。試験準備については後述。

私の今のフィンランド語力はA2程度、どうにかB1に手が届くかというところなので、今回のkeskitaso受験は、日本の中学校3年生が英検2級を受けるようなもの。久しぶりに試験に向けて緊張して、テスト中に具合が悪くなっちゃったり、リスニングテストで眠りに落ちちゃったりする学生の気持ちが体験できました。

ご近所のフィンランド人のお友達は、YKIをもじってYKI =Yritin Kovasti Ikävystymättä(I tried hard without getting bored)って表現して笑わせてくれましたが、なんとか眠りに落ちることもなく、飽きちゃうこともなく、頑張ってきました。

会場での受付から開始までの準備

会場はタンペレの駅から徒歩15分くらいのところにある、専門学校。入り口の受付で身分証明を見せて受付を済ませ、ロビーで待機。開始時刻過ぎても何も起きないので不安になっていたら、10分ほど遅れて案内開始。名前を呼ばれた順に会場に向かう。Awajiは、フィンランド語では「あわぃ〜」となる。

教室入り口でも再度身分証明を提示、パスポートやhenkilökorttiなどの身分証明書類はそのままテーブルに置かれて預かり。氏名が印字されたカードが並んでいて、その上にむき出しで置かれている。ま、原始的だけど、盗ろうとしても丸見えなのでむしろ安全か。

入室時には、電子デバイスをすべて封筒に入れて預け入れ。面倒にならないようにスマホ以外はすべて置いてきたのに、参加者の中には封筒一つでは収まらないアホも。預け入れの封筒を納めた箱からブンブン振動が聞こえてきて、急遽箱を引き取りに来てもらうことに。洋を問わずお馬鹿はいるもんです。

名前の書かれた紙のある席に着席。荷物は教室前方の机に置く。時計や水筒は席に持参してOK。机には、鉛筆と消しゴム、鉛筆削りが置いてある。

試験の進め方

事前の問い合わせへの回答通り、教室には時計が備わっていて、一応よく見えたが、秒針付きの腕時計を持参して正解。

グループは、リスニング・スピーキングを最初にやるグループと、リーディング・ライティングを先にやる2つに分けられ、前半後半で会場を入れ替えるシステム。リーディング・ライティングは普通教室で、リスニング・スピーキングはPC教室でマイク付きのヘッドセットを装着して実施。

指示や試験の説明はすべてフィンランド語で行われた。監督者は恐らく会場となった専門学校の教員で、とてもゆっくりと明瞭に話してくれたので、特に不安は感じず。

本人確認はとても厳格なくせに、時間管理や開始前の説明などは結構アバウト。日本の某共通試験のように、1分遅れただけで報告書類を書いたりすることもなさそう。リーディング・ライティングの試験開始前の説明では、ページをめくりながら課題を確認してくれたりして、その間にさっと目を通すこともできた。

前後半の入れ替え時には30分程度の休憩時間あり。廊下の椅子などで適宜軽食を取ったり、ぼうっと休憩したり。休憩時間中は、受検者が外に出ないように、ドアには警備員が配置。こういうところは妙に厳格。

終了時には身分証明と電子デバイスが返却され、随時解散。

リーディング(60分+10分)

ある程度の長さのパッセージを読んで設問に答える。設問は、最初2問は正誤選択、次の3問は三択選択肢の問題(合計24問)、残りの2つがフィンランド語での筆記回答(問題数はちょっと記憶曖昧)。終了後に10分間、回答をマークシートに書き写したり、見直す時間あり。どこまで見直して修正していいのか、ちょっと不明。

パッセージのトピックは、ウナギに関する説明文、地域のイベントに関する案内文、あとは記憶なし(笑)。

文章を読む前に設問と選択肢に目を通せるのだが、そこに慎重に時間をかけすぎて後半の時間配分に失敗。残り時間1分で回答完了。こんなヒヤヒヤする経験は、久し振り。それで記憶がすっ飛んだ次第。

設問の疑問文で使われるmihin, mistäなどの疑問詞の意味把握が未熟で、文章から回答を拾い出すのに難儀。これは今後の勉強の課題。設問は文章の展開通りに並んでいるので、流れに沿って解きやすくなっている。

ライティング(55分)

いろいろな設定や条件を満たす作文を求められる。お題は3つ。設問に続いて、大きな枠があるので、そこに直接記入する。最初の2題については、ただの真っ白い四角い欄があるだけ。なぜか小論文課題の枠にだけ罫線がついていた。

1.päästuslippu(入場券)についてメールを書く課題。持っているチケットのイベント(内容は勝手に決めてよい)に行けないので、友人にメールして代わりに行けるかどうかを問い合わせるという条件。

2.vuokramöki(レンタルの別荘)に関するクレームを書く課題。休みにレンタルした小屋について2つの問題を指摘して苦情を伝え、どのような補償を求めるか、小屋をどのように改善したらさらによくなるかを提案するクレームを書く。

3.小論文課題。2つの課題から1つ選択して論述する。
A) SNSに関する話題。somekeskustelu(SNSでのやり取り)についてどんな問題があるか、どうすればいいか、みたいな話。
B) 家庭と保育園と、どちらの教育が大事か、みたいな話。でも、含めるべき項目のリストの中によくわからないことがいくつもあったので、Bは選択せず。

1は、実生活でもしょっちゅうホッケーのゲームに誘われて、チケットをどうするかみたいなやり取りをしたことがあったので、ドンピシャリ。2も、サンプルテストに似たような課題があり、以前に小屋をレンタルしたことがあったのでイメージしやすく、語彙も充分だったのでバッチリ。3もSNSについてはよく話題にすることがあるので、書くことはたっぷりあって何とかこなせた。

終了後にチラリと見たら、隣のロシア人と思われる女の子は回答欄ほぼ全体を埋め尽くしていた。逆に前の席の中東系青年は、ずっと腕組みして取り組んでいる様子見られず。

リスニング(30分+10分)

パッセージを聞いて、その内容に関する質問に回答する。最初は通して再生され、2度目はパートに分けて再生される。2度目のパートごとの再生では、聞く前に設問に目を通す時間が与えられる。正誤選択問題2問、三択選択問題2問、フィンランド語で筆記回答する問題が2問。

1.コテージで起きた事件に関するニュース
2.アパートのゴミ捨て場のマナーに関する会話
3.息子が通うスイミングセンターへの問い合わせ電話の会話
4.デマメールに関する説明
あとのテーマについては記憶なし。

あらかじめ設問や選択肢にさっと目を通す時間はあるものの、かなりの速読力が求められるので手強いです。選択肢の中にあるキーワードも、音声で使われている語の同義語や口頭表現が使われていたり、逆にキーワードと合致しても違う内容になっていたりと、三択とはいえ難解。

スピーキング(30分)

1.Kertominen: お題について1分間の準備時間後、1分30秒で話す課題。

最初のテーマは職場の同僚について。いい同僚は何をすべきか、しないべきか、何を一緒にしたいと思うか、どんなことについて話せるか、いい同僚がいることでこんな効果があるか、ということを含めて簡単に説明する。
もう一つは、確か、同居人が電話使いすぎだと苦言を呈する課題(ちょっと記憶曖昧)。

2、3.Keskustelu: 対話課題。対話の相手部分は音声が流れるが、自分のパートではどのようなことを話すのか指示と制限秒数が書いてある。

ひとつめのテーマは近所の自治会の会合に関する会話、もう一つは床屋の予約とサービスや料金交渉の電話での会話。予約したいことを伝え、料金を尋ね、それに満足しないので値下げ交渉をしろというような設定。

今回は物価高騰や円安の影響もあって、床屋には行かずに自分でバリカンで散髪しているので、こういう電話をかける機会がなく、ちょっと戸惑った。散髪をどう言えばいいか困ったが、試験後にマリカと話していて、せっかく覚えていたhuistenleikkuukone(バリカン)という表現をちょっと応用すればよかったと気づいて悔恨。

4.Tilanteita: 条件を読んでそれに合う発話をする。

・会議に遅れたお詫びと理由
・風呂場の改修についての不満と要求
あとの3つは条件把握にパニクって記憶なし

5.Mielipide: トピックについて意見を述べる課題。確か1分間の準備時間の後、2分間与えられて時間いっぱいまで話し続けるよう求められる。

Eläkkeilleに関する話題。65歳で定年するのは早いか、他の国ではどうか、早期定年はどんな長所があるか、など。もう一つのお題は記憶なし。

Phuhu nyt!という録音音声の合図で会場内一斉に話し始める異様な雰囲気にちょっと圧倒されたが、与えられた時間は短いので、そのくらいしないと話しきれない。聴衆ではなく、マイクに向かってひたすら話すのはそれなりの練習が必要だと感じた。ヘッドセットをしていても、音声は聞き取れはしないものの周囲の音が耳に入ってくるので、それで気が散らないように集中することも必要。

全体の振り返り

トピックによって得点可能性がかなり違ってくる。馴染みのある状況や話題ではかなり楽だが、そうではないと苦戦する。ただし、テストで扱われるトピックはあらかじめ指定されているので、それらを網羅して勉強することがポイント。

全体として、ユヴァスキュラ大学が公開しているサンプル問題(そもそもこのテスト自体、ユヴァスキュラ大学の関係者が作成しているらしい)に目を通し、課題に必ず使われるような語句を中心にカードに書き出し、1週間詰め込み学習をしたことが結構助けになった。今回はとてもそこまで手が回らなかったけど、ネット上には他にもいろいろ情報があるようで、特にYouTubeにはスピーキングに関する情報や練習問題がたくさんあるようだ。

以下が、今回の受験で見えてきた今後の学習課題。

1)スピーキングの反応速度向上。普段のマリカとの会話で極力英語を減らす。
2)リーディングの筆記回答の設問理解力を、mikäの変化形をしっかり学び直して向上させる。
3)取り上げられるトピックに関する語彙拡大。その際、puhekieliや同意語にも配慮して学習。

結果はおよそ2ヶ月後に届くらしいが、次回の受験に備えて、さらに勉強に励もうと思う。今回実際に受験したことで、どのような目標に向けて何をやればいいかが明確になったのは大きな収穫だった。

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