教員指導力向上についての公開セミナー参加

5月6日午後に、タンペレ大学ほかいくつかの大学が国からの助成を受けて実施しているUNIPS(フライヤーのPDF)というプロジェクトの一環として開催された、大学教員向けのセミナーに参加してきました。タンペレ大学だけでなく、フィンランド各地の大学から参加がありました。

はじめに、The regulation of teachers’ learning and pedagogical development(大学の案内にリンク)と題して、オランダからJan Vermunt教授を招いて、高等教育機関の教員指導力向上についてレクチャーがありました。レクチャーに続いて、3つのグループに分かれて別室でレクチャーについてのディスカッションや質問の整理を行い、それを持ち寄って再び全体で教授も交えて質疑応答が行われました。

レクチャーでは、大学教員に求められる研究者としての資質と教育力について、主に経験によって支えられている実態を踏まえて、教員と学生の学びの構造が多重構造のモデルとして整理されました。そのモデルから、教員がどのような実践から自らの教育力を向上させていくかについて、自らの実践経験から得た知識、指導力向上プログラムから得た知識、経験豊富な同僚から得た知識という3つの知識が統合された中で経験を積んでいく実践理論が提示されました。その変容を、デジタルツールを活用してさまざまな観点から記録し分析するという手法が紹介されました。

後半では、Vermunt教授がイギリスのケンブリッジ大学に所属していた頃から取り組んでいるという、Lesson Studyという取り組みが紹介されました。これは、日本の初等中等教育では明治時代から普通に行われている、授業研究をモデルとしているという紹介に驚きました。イギリスだけではなく、授業力向上のアプローチとしてはヨーロッパやカナダ、アメリカでも注目されているとのことで、驚きました。

日本では授業研究という手法は、教科教育の分野ではある程度の位置づけがされていますが、実証的研究としてはどちらかというと周辺的な存在だと感じていましたが、海外ではこのような将来性が見出されていると知って、何だかうれしいような、照れくさいような、複雑な心境でした。

日本の高等教育機関のFaculty DevelopmentやProfessional Developmentというと、アクティブラーニングや授業ツールの活用などに焦点が当てられることが多いですが、このように授業研究というど真ん中にボールを投げ込むような取り組みがされてもいいのかもしれません。それには、大学教員で指導について共有できる土台や、専門分野を超えた指導力の構成要素のようなものが整理されなければならないと思います。

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